しばらく前に、地理に詳しくない母親用に「なるほど知図帳」の日本・世界2冊を買ったのですが、これがなかなか資料性に富んでおり(若干大本営発表的なきらいはあるものの)このシリーズがなかなか期待できることがわかりました。
このムックは大規模な建築物にスポットを当てた資料集ですが、各産業別にテクニカルイラストでのメカ解説と主な案件の写真紹介があり、そのセレクトが昨今の土木建築物趣味の方向とうまくリンクしていて、「酷道」「ダム」「ジャンクション」「団地」あたりに関心がある人にも最適なムックになっています。それぞれの案件に関する資料詳細は各趣味専門書に譲るでしょうが、特に土木方面からの産業の変遷などを流れとして追いかけるのにピッタリです(ジャストとはいいません)。
なぜ「ジャスト」ではなく「ピッタリ」であるかといえば、昨今のその手の趣味本は基本的にスタッフが若い(70年代生まれ以降が多い)のですが、このムックは地図大手の昭文社から出ていることもあってか編者の世代がかなり上で、しかもゼネコン関係者からの寄稿もあるなど、かなりオッサンくさい作りになっているからです。でもそれがかなり資料としての有用性を増しているので決してネガティブなものではありません。
まあ全体に流れるのは「ゼネコンはこんなにえらい」というものであって、特に可動堰などについての反対意見などはあまりないので、やはり趣味本であることに変わりはありませんが、なんでもダムはダメとか道は造るな(もちろん不要なものは不要)ということではなく、こちらの方面からの視点を得ることも必要でしょう。その意味ではダムゲイザー(眺める人)とかジャンクションゲイザーたちがまず「眺める」というところからスタートしている流れに沿うとも言えます。